「えっと。お金は持ったし、後は・・・」
部屋で身支度を整えながら、忘れ物がないかチェックしていると。
扉を軽くノックする音。
そこから顔を出したのはロビン。
「航海士さん、準備は出来た?」
「うんっ」
ぎゅっとお財布を握り締めながら、甲板に上がる。
ここはグランドラインのとある春島。
そして今日は、5月4日。
明日は―――――――――ルフィの誕生日。

世界で一番君が好き

賑やかな通りを2人で歩きながら、色々なお店を眺めて。
「船長さんには、何がいいかしらね?」
「・・・・・・・・・・・・ごめんね、ロビン」
「あら、何が?」
「買い物、付き合わせちゃって・・・」
「ふふっ。気にしないで?私も船長さんに、プレゼント用意しないと」
最近、仲間に加わった年上の彼女。
バロックワークスにミス・オールサンデーとしていた頃は、何考えてるのか全然わからなかったけど。
最近はだいぶわかるようになってきた。
想ったよりも付き合いやすくて。
・・・似たような人を好きになってるせいもあるかもしれないけど。
ビビとは違った、友達。
「航海士さんは、何をプレゼントするか決めてるの?」
「う、うん・・・」
自分がルフィにあげようとしてるモノを思い浮かべて、少しだけ恥ずかしくなる。
顔を赤くした私を見ながら、ロビンが笑った。
「ちょっと休憩しましょうか」
そう言ったロビンに促されるまま、近くのカフェに入る。










私はオレンジジュース、ロビンはアイスコーヒー。
優雅な仕種でコーヒーを口にした後、頬杖をついたロビンが問い掛けてきた。
「何か私に聴きたいんじゃないの?」
「っ!!」
「図星みたいね」
ロビンって、私より観察眼が鋭い。
どうして口にしていないのに、私の考えてた事わかるのかしら。
「船長さんの事かしら?」
「う・・・・・・・・・・・・、うん」
目の前をストローを回したりしながら、どう切り出そうか悩んで。
けど結局、上手い言葉が見つからなくて。
「あ・・・・・・、あのね」
「なぁに?」
「ロ、ロビンは・・・・・・・・・その・・・・・・」
「・・・?」
「は、初めての時って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どう、だったの?」
「初めてって・・・・・・・・・・・・セックスの事?」
まさかあからさまに言うとは思わなくて、顔が熱くなる。
「あら、違った?」
「そっ、そうだけど・・・・・・」
「そうね・・・・・・」
からからと。
ロビンのグラスから、涼しげな音が響く。
「もう覚えてないわね・・・。随分昔の事だから」
「そう・・・・・・・・・なの?」
「ええ。私の場合、身体も使わないと生きていけなかったから」
「あっ・・・・・・」
その言葉に。
ロビンがどんな人生を送ってきたのかが、少しだけ見えた。
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
「気にしないでいいのよ?確かに好きでもない男に抱かれるのは嫌だったけれど、今は違うから」
そう言ったロビンは、本当にしあわせそうで。
きっと今、お兄さんの事考えてる。
「・・・・・・私にとっての『初めて』は、エースと初めて寝た時ね」
「お兄さんと?」
「身体は初めてじゃなくても、心まで抱かれたのは初めてだったわ」
「心まで・・・・・・・・・」
「誰かに心を包まれるのが、あんなに心地いいものだなんて知らなかったの」
その言葉の中に溢れている、お兄さんへの想い。
「あら、ごめんなさい。今は航海士さんの話だったわね」
「ううんっ、全然。ロビンとお兄さんって・・・・・・素敵ね」
「ふふっ」
喉が渇いたのか、こくりと一口コーヒーを飲んで。
真っ黒い綺麗な瞳が、じぃっと私を見つめる。
「航海士さん。怖がる事なんて、ないのよ」
「ロビン?」
「愛する人に、身も心も委ねる。それはとてもしあわせな事なのよ」
今の私みたいに。
ロビンの笑顔は、そう私に言ってるみたいで。
ゾロとサンジくんみたいに。
ロビンとお兄さんみたいに。
私とルフィもなれたらいいなって。
そう、想った。
「そんなに心配しなくても、船長さんならきっと優しくしてくれるわ」
「え・・・?」
「だってあんなにも、貴女を愛してるんですもの」
「えっ?えっ?」
「見ていればわかるわ。貴女を見る船長さんの瞳、とても優しいのよ。他の人を見ている時とは、全然違うわ」
私を見るルフィの瞳が・・・・・・・・・優しい?
「う、嘘・・・・・・」
「本当よ。羨ましいくらいにね」
一気に体温が上がった気がした。
確かにルフィの瞳は優しいけど・・・・・・・・・・・・。
みんなとは違ってるだなんて、全然気付かなかった。
「真っ赤よ?」
「〜〜〜っ、ロビンっ」
「ふふっ。そろそろ行きましょうか」
相変わらず読めない笑顔のまま、ロビンは先に出て行く。
残された私は、赤くなった頬をぴしゃぴしゃ叩いて。
「ったく・・・。意地悪なんだから・・・」
グラスに残ったジュースを飲み干して、ロビンの後を追った。










「ところで、プレゼントは決まってるの?貴女自身だけじゃないんでしょ?」
・・・・・・・・・・・・んもうっ。
ロビンてば、どうしてこうも直球なのかしら。
また赤くなりそうな顔を押さえて。
「うん。私はルフィから貰ったけど、私からはまだ渡してないから」
「どういう事?」
「・・・・・・・・・・・・・・・コレ」
すっと自分の左手を差し出す。
薬指には、光る指輪。
「素敵な指輪ね」
「コレね、去年の誕生日にルフィがくれたの」
この゛太陽の石゛を、私にぴったりだって言いながら。
ルフィは迷う事なく、左手の薬指に嵌めてくれた。
コレはルフィの想いの証。
「アイツは指輪とかするタイプじゃないけど・・・・・・、私からも贈りたいの」
「・・・船長さんにぴったりのモノが、見つかるといいわね」
「ええっ」
色々な装飾店を回って、でもなかなかいい指輪が見つからなくて。
どうしようかと途方に暮れていたら、通りの外れの露天商が目に付く。
「・・・あそこも見てみる?」
私の視線に気付いたのか、ロビンが問い掛けてくる。
「少しだけ・・・・・・いい?」
「私は構わないわ」
そう言ってくれるロビンに感謝して、露天商の商品を覗いてみる。
「っ・・・!」
並べられた商品を見て、正直驚いた。
露天とは想えないほど、綺麗で細かい細工をされた装飾品達。
「すっごい・・・」
「おや、いらっしゃい」
「おじいさんっ。コレ、おじいさんが作ったの?」
「そうだよ。まあ、趣味みたいなもんだよ」
その細工はとても趣味なんかには見えないくらい。
その中でも、一際目を惹かれた。
シンプルな銀の指輪。
細工も何もされていなかったけど、静かな輝きを放っていた。
「綺麗・・・・・・」
「その指輪はね、想いを刻めるようにしてあるんだよ」
「想い・・・・・・?」
「そうさ。そうすれば何の変哲もない指輪でも、世界でたった一つのモノになる」
そのおじいさんの一言に。
私の心は決まった。
「おじいさん、この指輪に想いを彫っていただける?」
「あいよ、喜んで。どんな想いだい?」
「私の想いはね・・・・・・」










星が無数に輝く夜の甲板で、ルフィの誕生パーティーが始まった。
「ルフィっ、おめでとうっ!!!」
「おめでとう、船長さん」
「今日は無礼講だ、好きなだけ食えよ!」
「おめでとさん」
「え〜。それでは我らがキャプテン、ルフィの誕生日を祝って」

「「「「「「「乾杯っ!!!!!」」」」」」」

「みんなっ、ありがとなっ!!」
みんなに囲まれながら、楽しそうに食事をするルフィ。
そんなルフィを見つめながら、私は酷く緊張していた。
だって今日、私は・・・・・・。
掌の下で、心臓がものすごい速さで鼓動を刻む。
「食べないの?航海士さん」
サンジくんのオードブルを手にしたロビンが、私の隣りに座る。
「う、ん・・・」
「緊張してるの?」
「だ、だって・・・・・・。私、初めてだし・・・・・・」
「可愛いわね」
「ばっ、馬鹿にしてるでしょ!」
「あら、本当にそう想ってるだけよ?」
くすくす笑うロビンに、少しだけ頬を膨らませながらオードブルを口に入れる。
「今夜は私、宿に泊まるわね」
「えっ・・・?」
「私の事は気にしないで、船長さんと仲良くね」
「ロっ、ロビンっ!?」
慌てる私を他所に、ロビンはそのままみんなの輪の中に入っていってしまった。
ロビンがそんな事を言うもんだから、もう私の頭はパンク寸前で。
『どうしよう』って言葉が、ぐるぐる回って。
そんな時。
「ナミ?どうした?」
「っ!!!」
「さっきから全然食ってねえなぁ。具合でも悪いのか?」
いつの間にかルフィが目の前にいて、すっと私の額に手を当てる。
「おいっ、ナミっ。お前、すっげー熱いぞ!?」
そう指摘されて、ますます体温があがる。
「うおっ!?また熱くなったぞ!?」
「ちっ、違っ、これはっ」
私の言い訳が終わる前に、ルフィは私を抱き上げた。
「きゃっ・・・!?」
「早く寝ろ!!」
真剣な顔でそう言うと、そのまま部屋まで運ばれてしまった。
「ちゃんと寝ろよ?寝ないと治らねえんだぞ?」
「ちっ、違うのっ。ルフィ、あのね」
「いいから寝ろっ」
ルフィが真剣に心配してくれるのがわかって、それが嬉しくて。
ぎゅっと手を握り締めて、決心した。
「ルフィ」
「んん?」
「お誕生日、おめでとう」
ルフィが何かを言う前に、左手の薬指に指輪を嵌める。
「ナミ?」
「・・・あんたがこーゆーの付けないのわかってるけど、どうしても贈りたかったの」
「なんで付けないなんて想うんだ?」
「だって・・・」
ルフィがアクセサリー付けてるのなんて、今まで見た事ないもの。
それに・・・・・・、戦闘中邪魔になるかもしれないじゃない。
「ナミがくれたんなら、絶対外さねーぞっ♪」
ぎゅうっと私の手を握り締めて。
「ありがとな、ナミっ」
目が眩むくらいの眩しい笑顔に、もう。
「ルフィ」
ぎゅっとルフィを抱きしめて、強引に自分の上に覆い被せる。
「ナミ?どうした?」
「・・・・・・・・・約束」
「約束?」
「私をあげるって・・・・・・、1年前に約束してたでしょ?ずっと渡せなかったけど・・・」
「ナミ・・・」
「受け取って・・・・・・・・・くれる?」
恥ずかしいのを我慢して、ルフィを見つめたら。
さっきとは違った、大人っぽい笑顔で。
「ありがとう、ナミ」
「ルフィ・・・・・・」
「大好きだ」
きつく抱きしめられて、甘い口付けに溺れて。
「大好きだぞ、ナミ」
「ルフィ、大好きよ」
最高にしあわせな夜。










私が指輪に刻んだ想い。





゛I love you most in the world゛





世界で一番君が好き。










END.










船長HAPPYBIRTHDAY〜〜vってことで、「MACHINEGUN−TALK」のレボレボ★あゆみさん宅の

          ルフィ誕生日記念部屋から素敵ルナミ小説をかっさらって来ましたv

      相変わらずあゆみさんの書かれるお話は、ラブラブで優しくて読んでて温ッかい

                   気持ちになります〜vv ありがとう御座いました★

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