今日は俺の誕生日だ。

            サンジがこの船に乗ったとき、それまでは女部屋にしかなかった

          カレンダーがキッチンにも付いて、イベント好きなサンジが俺達の誕生日を

                           全部書いたんだって。

                 俺はカレンダーなんて見ねぇから知らなかったけど、

               ウソップが昨日言ってたから、今日は俺の誕生日だ!

      この船に乗ってから、初めてだな〜、そう言えば。早いトコサンジ乗っけといて良かった。

               けど、皆知ってんのかな?今日が俺の誕生日だって。

        サンジとウソップは知ってるよな…。チョッパーは…どうかな。ロビン…は知ってそうだ。

                          ゾロは知らねぇよな。

                             ナミ…は…。

                        覚えてるかな…。俺の誕生日…。

                           

                                            オレンジ

               

                       「ルフィ、お前今日誕生日だろ」

                     「何だ、ゾロ。おめぇ知ってたのか?」

          てっきり誕生日なんて気にしねぇと思ってたけど、今日初めて声掛けられた。

                     俺の意外そうな顔に、ゾロは笑ってた。

              

                      「柄じゃねぇとか思ってんだろ?」

                           「しししッ、まぁな」

        バレたか!って笑い合ってたら、ゾロは急に拗ねたみてぇにそっぽ向いた。

             「てめぇのせいで昨夜はお預け食らわされちまったぜ。

             朝早ぇからってよ。 俺とのセックスより、船長の誕生日に

          ご馳走用意すんのが大事なんだとよ。殺しそうになったぜ、てめぇを」 

    ゾロはまた、ニッて笑って俺の頭を小突いた。 俺は特等席のメリーのフィギアヘッドの上に座ってるから

          、今だけはゾロよっか背が高くなってて、ゾロを見下ろして笑った。

        

           「何だ、ゾロ。サンジに振られたのか〜。今日はお別れパーチーだなッ!」

              「はッ!?別れるかよ馬〜鹿!つか、何だよッ!パーチーって」

  

         そのまま、俺は刀を抜いたゾロと甲板を走り回って遊んだ。そんで、気付いた。

               

                 「なぁ、ゾロ。みんなドコ居んだ?全然静かだぞ」

                             

                          いつもなら。

             走り回ってたら、実験中のウソップにぶつかって怒られたり。

             料理中のサンジに抱きついてゾロに斬られそうになったり。

                キッチンで航海日誌書いてるナミに殴られたり。

               何だか難しそうな本読んでるロビンに笑われたり。

          フカフカの毛が気持ちくって抱きしめたチョッパーが窒息しかけたり。

                       いつもなら、もっともっと。

                         ――――騒がしい。

              

                     「な、皆ドコ行っちまったんだ?」

 慌てて聞き返す俺に、ゾロは呆れたみたいに溜め息をついた。剥き出しだった刀の刃を鞘に直して、

            剣ダコの出来たデッケぇ指で、俺の帽子を小突いた。

            

          「言ったろう?今日は朝から皆お前の誕生日会の準備に

        余念がねぇんだ。ナミとロビンは会場設営。ウソップとチョッパーは買い出し。

             サンジなんかは早朝からキッチンに引き篭もりっぱなしだ」

          

           最後の台詞は違ったけど、ゾロはすっげえ嬉しそうに話してた。

   ―――ついでに俺は役立たずらしいから、おめぇの遊び相手しろってよ。――――

      そう付け足して、ゾロは俺の乗っかってるメリーのフィギアヘッドに頬杖を突いて言った。

             

                   「良かったな、ルフィ。誕生日おめっとさん」

                      「しししッ、おう!サンキュな♪ゾロ」

       遠くで光る水平線を見ながら、俺はふと、前から決めてた事をゾロに訊いてみたくなった。

           「あのさ、ゾロは…ゾロとサンジはどっちがスキって言ったんだ?」

                         「何だよ、いきなり」

              ゾロは照れたみてぇに笑ってたけど、俺は真剣なんだ。 

                      「―――去年の誕生日はさ……」

                         「……………………」  

                       「ナミだけが祝ってくれたんだ」

                 去年の誕生日は、ナミを追いかけてったココヤシ村で。

            ナミの大切な人の御墓がある、ひろいひろい海を見渡せる場所で

        ナミは泣きながら告げたありがとうの中に、消えちまいそうな小さな声で俺に

                      「おめでとう」って言ってくれたんだ。

 ゾロと3人で後悔してた時。何となく話した俺の誕生日をナミは覚えててくれたんだ。それが凄ぇ嬉しくて

  。プレゼントも、ケーキもなかったけど。俺は馬鹿みてぇにナミを抱えてお墓の回りをゴロゴロ転がった。

             肩の傷が擦れて痛そうだったナミが、綺麗な笑顔で言ったんだ。

                     

                         「来年の誕生日には・・・」

                      覚えてっかなぁ・・・ナミのヤツ・・・。

           「お〜〜〜いッ!!ルフィ!ゾロ!準備出来たから手ぇ洗ってキッチンに来やがれ!」

      キッチンからお待ち兼ねのサンジの声がして、俺はゾロと一緒に手を洗いに行った。

          石鹸を泡立てながら、ゾロは俺ににやって歯を見せて笑ってこう言った。 

      「俺とサンジは素直じゃねぇからな。随分遠回りしちまったぜ?けどな、アイツは素直じゃねぇが

   いっつも俺のタメに色々してくれんだ。トレーニング後の冷てぇ飲みモンだとか、2度手間承知で

 みんなと別に甘くねぇデザート用意したり…。そんで俺がそれ食うとな、馬鹿みてぇに嬉しそうに笑うんだ。

    それ見たらよ、下らねぇ意地も羞恥も消えた。抱きしめて、俺のモンにしてぇと思ったんだ」

                              「……そっか」

                 「偏に言やぁ、俺から告ったんだろうが…そうじゃねぇな」

                ゾロは蛇口を捻って手を洗い流しながらポツりと言った。

                      「アイツが俺に勇気をくれたんだ・・・」

       何だか見透かされたみてぇで、俺は泡だらけの手でゾロの髪をぐしゃぐしゃってしたやった。

                     「ッうわ!!てめぇ、何しやがる!!」

 ゾロは急いでタオルで髪を吹きながら、相変わらず「しょうがねえな」って顔して俺を見てた。 

            すぐに手を洗い流して、俺は逃げるみてぇに風呂場を出た。  

                       

                         「サンキュな!ゾロ!」

                        「何のコトだ?キャプテン」

                     しししって笑って、キッチンに急いだ。

                         「すっげぇ〜〜〜〜〜vvv」

  キッチンは何だか凄ぇキラキラ飾られてて、ビラビラした紙とかテイッシュみてぇな花とかいっぱいだ。

   テーブルにはでっけぇケーキと肉があって、他にも色々あった。あ、ウソップの嫌いなきのこもある。

      「おう!ルフィ、来たか。ど〜だ?このハイセンスな飾り付け…これは俺様が・・・」

     「ルフィ〜〜vコレね、コレね!俺が苺の蔕取ったんだゾvクリ―ムあわ立てるボールも

                         俺が押えたんだゾvv」  

                 「そっかぁ〜vすげぇなチョッパー♪ありがとな」  

                        「えっえッえ///」

         嬉しそうに飛び付いてきたチョッパーを抱えて、俺はみんなを振り返った。  

                         「おめでとう、船長さん」 

                       「座れよクソゴム、っとルフィ」     

                   「ルフィvとなりに座って食べてイイ?」

               「おう!もちろんだ♪チョッパーvみんなもさんきゅうな!!」   

                「……サンジく〜ん、おれの皿、きのこ多いんだけど…」

     だまって食えって、サンジに睨まれるウソップ見て笑ってたら、ぐいって、後ろに引っ張られた。

                          「うおうッ!!ナミ!?」

   ナミが俺の襟首掴んで、ひっくり返った俺を見下ろしてた。キッチンの明かりで輪郭のぼやけた

    オレンジ色の髪から、大好きなナミの匂いがする。太陽みてぇな・・・蜜柑みてぇな匂い。

                        

                         何だか凄ぇ…ドキドキする。

                            「おめでとう!ルフィ!」

              

  にって笑ったナミの笑顔が可愛くて。胸のドキドキを押さえようとそっと、手を伸ばしてナミの肌に触れてみた。

                    柔らかい、すべすべした肌にもっとドキドキして

                    俺は見下ろされたまま、ナミの顔を引き寄せた。

                   

                       「「「「「「―――――ッ!」」」」」」

                   触れただけで離した唇は小さく小さく震えてた。                        

                           「ル、ルフィ!!」

                     「…俺、今日で18になったんだ」                     

                             「-----!」 

       ナミの肩が揺れた。見えてる腕には、あの時自分でつけた傷と、新しく入れた刺青が見える。

                        俺は起き上がって、ナミに向き合った。 

                              「ナミがスキだ」

                               「ルフィ・・・」

   周りに居るみんなが、気を使って出て行こうとしたのを、俺は右手を使って止めた。コソコソ伝えるような

   弱い想いじゃない。不思議そうなみんなを、ゾロが座るように促してくれた。やっぱゾロは凄ぇな。

             「去年、言ったんだ。”来年の誕生日にはルフィも18になるんだね”って。

             だから俺も言ったんだぞ”そしたら絶対、ナミを嫁にするんだ”って」

       あの時、8歳のまま止ってたナミの楽しい想いでを、俺の船で増やしてやろうと思った。   

    一緒に居て、一緒に笑って、一緒に冒険して、一緒に夢を掴んで、ずっとずっと一緒に居たい。

                  「俺はナミが好きだ。去年言ったのはうそじゃねぇ。」

                              「…………」

           俺は麦藁帽子を押えて立ち上がった。ナミはまだ、床に座ったまんま。 

                     ―――――チクって、胸が痛んだ。―――――  

                             「…………ッ〜〜〜」

                               「ナミッ!?」

  ナミの小さな泣き声がして、俺はまた床に座った。ナミは綺麗な鳶色の目からポロポロ涙を零して。

               さっき触れた唇は、噛み締められて紅くなってた。 

                      「………ごめん、ナミ。迷惑だったか?」

                 そう言ってみたら、ナミはぶんぶん首を横に振った。

   やっと上げてくれた顔は、涙でぐしゃぐしゃだったけど、その泣き笑いみたいな顔のまま、ナミはぎゅうって

                           俺の首にしがみ付いて来た。

                          「おわッ!!ナミ!?」

         何だか今日は押し倒されっぱなしだ。まいった。これじゃドッチだかわかんねぇよ。

       そんなコト考えてたら、ナミは俺のほっぺたを挟んで、涙いっぱいの目で見詰めてきた。

「あたしも言ったじゃない!去年のあんたの誕生日。”嬉しくて泣いちゃうかも”って…。あたしの言ったのも

                       嘘なんかじゃなかったんだからね」 

  そう言って、ナミは俺のおデコにキスをした。みんな笑って見ててくれた。ゾロも、サンジも、ウソップもチョッパーも

  ロビンも。ウソップなんかは何だか咳きなんかしてた。チョッパーとサンジはゾロにくっ付いてた。

             俺は胸の奥から沸いてくるみてぇな温けぇモンを吐き出すみてぇに

                       ナミを強く強く、抱きしめて叫んだ。

                  「大好きだぞ!!ナミ!最高の誕生日だ!!」

  

           もう一回ぎゅうって抱き締めて、俺はナミを抱えてみんなを振り返った。

              「「「「「「 HAPPY BIRTHDAY・ルフィ!!!!!! 」」」」」」  

  シャンパンの真っ白い泡。弾けたクラッカーから飛び出したカラフルなリボン。大好きなみんなの笑顔。

                                 それから

                 「おめでとうv ルフィ、これからもずっとずっと…よろしくね」

                               「おう!!」

                           最愛の人の、眩しい笑顔。

          みんなの笑顔に包まれて、最初に刻んだ大好きなナミとの思い出は、視界いっぱいに

                           広がった無数の海の青と。

                     

                             あったかい、オレンジ

        

      

                        

                           ☆★☆あとがき☆★☆

 やっと書き終えました〜〜、ル誕SS!!てゆーか…初のルナミで結婚させるか!?

しかも何だかルフィに「結婚しよう」って言わせられなくて、プロポなしの結婚・・・。いいのか?ナミさん!!

ココヤシ村って5月だったのかなぁ・・・。もし違っても突っ込まないで下さい〜(汗)妄想なんで。

何だかよく分からない話ですが、愛はたっぷり積め込みましたv

 一応、イラスト同様5月いっぱいまでDLFにしようかと思いますv居ないと思いますが貰ってくださるってかたは

事後で構いませんので、ご一報下されば助かりますv

                     ルフィ〜〜、誕生日おめでとう!!!!

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