さっきから。 フィギアヘッドに座って真っ直ぐルフィが海を見てる。 たまに、思い出したようにちょっと上向きになってみたり、 胡座をかいた膝をそこに置いた掌で軽く叩きながら。
「ナミさん、ちょっと一息入れねぇ?」
そう言って、あたしのカップを暖めながらサンジ君が首を傾げた。
「そうね、あと1行で終わりよ」
そう答えて、あたしはその1行を埋めると日誌を閉じた。
日向ぼっこ〜ナミ side〜
「どうぞ」
サンジ君の声に、甲板から顔を上げるとカップから白い湯気を立てた 紅茶のいい匂いが鼻を撫でていった。
「ありがと」
あたしはにっこり笑ってそれを受け取ってソーサーに乗った檸檬を 絞って紅茶に入れた。
甲板では、ゾロが鉄棒を振ってて、マストの影に、ウソップの頭が見える。 さっきからロビンが見当たらないケド、きっと見張り台にでも居るんだわ。
それにしても、今日はとってもいい天気で。 ラウンジの円窓から差し込む光が、窓の縁を半分消してる。 日誌と机の境目に、その丸い光りが当って、あたしはその丸を指でなぞった。
「今日は昼飯、外で食ったりしてぇなぁ…チョッパー」
サンジ君の声がシンクの方から聞こえて、あたしは甲板を見詰めたまま チョッパーの返事を待った。
「そうだな♪今日は気持ちぃからきっと美味しく感じるゾ!」
「あんだ?コラ、チョッパー…俺の飯が拙いみてぇな言い方だな」
「えぇッ;お、俺そんなつもりで言ったんじゃないぞ!」
サンジ君の台詞に怯えたようなチョッパーに小さく笑って、あたしはシンクを 振り返った。
「ちょっとサンジ君、チョッパー苛めたら可哀想でしょー?」
「あ〜い、ナミさんvv」
目をハートマークにしてへらへら笑うサンジ君に愛想笑いを返した。
「サンジ君、もうお昼出来たんでしょ?皆呼ぼうか」
あたしは立ち上がってラウンジのドアを開けた。
本当は。
早く、ルフィの名前を呼びたかっただけかもしれない。
あたしは真っ先に、彼の名前を呼んだ。
「ルフィー!」
そしたら吃驚したのか、ルフィはヘッドから落っこちそうになりながら 慌ててあたしに声を返した。
「何だぁ?ナミー!」
「お昼ご飯、出来たわよ〜!」
早く来なさい、って付け足して。 あたしはラウンジに向き直った。 そしたら、ルフィってばおっきな声で…。
「ナミ!今日はさ、皆で外で食わねぇか?」
なんて言って来て
あたし嬉しくなって笑顔で返事をした。
今日はこんなにいい天気だから。 眩しいくらいの笑顔でいっぱいになったらいいわね。
ねぇ、ルフィ? この食事が終わったら、皆と一緒に日向ぼっこでもしない? 何て、あたしが言ったら…皆吃驚するかな?
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