「っはぁ…は、ぁ…」
俺の体を這い回る、5本の指と唇。 いつのまにかベッドまで追い詰められて、 首筋に噛み付きながら、曝け出してる胸に 躊躇いもなく触れてくる手首を捕まえて、髪を掴み上げた。
「……ヤメロって…シャンクス……」
髪を掴まれて上向きになったままで、シャンクスは悪びれる様子もなく 口角を上げると、俺の顎を舐め上げた。
「……ッ!」
「…シようぜ……?エース…」
そう言って、ゆっくりと壁に追い込んできた目は、笑みを含んでいて…。 室内でも被っていた帽子を脱がすと、満足したように俺の前髪を掻き上げて、 額に柔らかく口付けられた。 頬に触れていた指が、だんだんと下りていって、 首筋、鎖骨を通って、再び胸の突起を掠めると、今度は小さく押し潰されて。
「……ッぁ…く」
声を洩らしてしまって、さらに執拗に弄られた。
「はッ…ぁ…ん」
クニクニと抓まれたまま揉まれて、 ぞくぞくと背筋を走るむず痒い感覚に唇を噛み締めた。
「……我慢すんなよ…」
俺の胸元から顔を上げたシャンクスは、 そう言って噛み締めた俺の唇を舐めなぞって、 深く口付けて来た。 角度を変えながら上顎を舐める舌が、認めたくなくても気持ち良くて。 いつしか麻痺した俺の感覚は、シャンクスの口付けから逃れられなくなっていた。
「ぁ…ん…ッんぅ」
舌を絡め返しながら、震える手でシーツを握り締める。
本当は嫌じゃなかった。
俺の弟の憧れの人。 アイツが背負われていた背中に、俺も背負って貰いたかった。 アイツを見る嬉しそうな目で、俺の頭を撫でて欲しかった。
「…ぅあ……ッん///」
何時の間にか再び胸に顔を埋めたシャンクスに、胸の突起をキツく吸われ、 熱くなった体を、シャンクスに摺り寄せる。
「…シャン…ぁ、も…、来て…」
仕返し、と言うようにシャンクスの鎖骨に噛み付き、 舐めながら小さく、強請ってみた。 そんな俺の様子に軽く舌なめずりをしてから、 シャンクスはゆっくり俺の体を押し倒した。
********
「……なぁ、酔ってたなんてウソだろ?」
情事の後、妙にスッキリした顔で俺をシャワー室へ運ぶシャンクスに超えを掛けた。
「んん?俺がいつ酔ったなんて言った?」
ニヤニヤしながらシャワーのコックを捻って、湯加減を見ているシャンクス。 安い宿で、浴槽もないシャワーだけの部屋は凄い狭くて。 俺を抱えたまま、シャンクスはお湯で体を流してくれた。
「……酔ってねぇとも言わなかったじゃねぇかよ…」
「そうだっけか?まぁイイじゃねぇか……ッあ!嫌だったか?初めてみてぇだったし…」
「〜〜〜〜バッ///」
「あ〜…悪かったなぁ…初めてはもっと…なぁ?」
「何が『なぁ?』だよ…///」
「いや〜…謝らねぇけどな?」
クスクス笑いながら俺の髪を掻き上げて、額をくっつけてきた。
「……ルフィにばっか構ってたけどな…?俺ぁエースも好きだからな〜」
「……じゃぁルフィに逢っても抱いてた?」
シャンクスの台詞に、少しだけ寂しくなって、 自分でも情けなくなるような声で、情けなくなるような ことを言っていた。 そんな俺に、驚いたように目を見開いてから、シャンクスは小さく笑った。
「……抱かねぇよ…アイツにはそんな感情ねぇもんよ」
「……そんな感情って…?」
俺の髪から伝い落ちる水滴を指で軽く拭ってから、 シャンクスはニカッと笑って抱き締めてくれた。
「……愛…とか?」
「ッぶ!臭ぇオッサン…」
「…何だコラ、ヤっちまうぞ!」
「ぶはは!愛って〜〜」
本当はさ、凄ぇ凄ぇ嬉しくて。
俺も、とか言っちゃいそうだったんだけど…。
まだまだ、先は長いんだし…その言葉を言うのはも少し先でもいいだろ?
いつのまにか止んでいた雨の音は、シャワーの水飛沫の音に消されて。 ずっと降り続いてたみたいに、俺達の時間を繋げてくれていた。
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